about reframingプロジェクトについて

reframingは、2021年「きれいの輪郭」というテーマのもと、約半年間に渡って取り組まれた東京藝術大学中山英之研究室と花王株式会社による協働プログラムの記録であり、そのプログラムから導かれた生活に対する想像の束です。

reframing
project

東京藝術大学 中山英之研究室について

 毎年私たちの研究室には、建築設計を含む創作を、自らの名前で世に問う人生に飛び込もうとする学生たちが集まってきます。中心にあるのは建築設計ですが、修了生には音楽家もいますし、在学中から映像作家として活動する学生もいます。毎週のゼミでも、映画や音楽、アートやファッション、詩や文学、哲学や社会学、科学や生物学などなど多様な話題が飛び交い、建築というあらゆる事象にまつわる創作を議論し、追求しています。 
 研究室全体でのプロジェクトとしては、地方都市にデジタル工作機械を導入したものづくりカフェを設計したり、藝大の美術学部や音楽学部の学生たちを束ねて、公共建築のリノベーションプロジェクトを行うなど、大学の外に出た実施プロジェクトにも取り組んでいます。そうした研究室での活動や学生の個人制作に、これと決まったルールはありませんが、たったひとつだけ決まりごとがあります。それは、どんなに小さなプロジェクトでも、その建築が存在する住所のはじめを「地球」から考え始めてみよう、ということです。 
 藝大中山研が目指しているのは、極大と極小の視点を自在に行き来しながら考えることから生まれる建築、と言えるかもしれません。

東京藝術大学 中山英之研究室

花王株式会社について

 花王は、暮らしを変える商品を生み出してきました。清潔から始まり、美、健康、そして環境へと分野を広げながら、モノづくりを続けています。​花王には、様々な専門性を持つ人財がいます。その中で、物事の本質にこだわる研究開発部門、日用品開発におけるデザイン部門、そして環境や社会問題、ガバナンスの視点で(社内外の) 取り組みを行うESG部門など、働く場所や専門性が異なりながら、未来の「きれい」に向けて自分たちの足で一歩踏み出したいという共通の想いを抱いた仲間が集まりました。
 本当の意味での「きれい」とは何だろう。そのためにできることは何だろう。私たちは、どんな未来を描きたいのだろう。その複雑で長期的な問いには、科学の視点だけではなく、アートの視点、そして生活者としての視点が欠かせません。​
 2021年、花王は新たに事業を通して「未来の命を守る」という目標を掲げました。これから歩むのは、地球環境や人の生命に目を向け、きれいな暮らし、きれいな未来について気づき、考え、模索し続ける道です。よりよいこころ豊かな生活と豊かな自然のために、これからも私たちは歩み続けていきます。

花王株式会社

プロジェクトメンバー

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    中山英之 Hideyuki Nakayama

    東京藝術大学准教授、中山英之建築設計事務所主宰。活動領域は建築設計全般の他、美術展の会場構成や舞台美術、プロダクトデザインなど、多岐にわたる。reframingでは、かねてより興味を持ち続けてきた都市のスケールとプロダクトのスケールを横断するような思考と、多分野に渡る知性とのコミュニケーションが経験できたことが嬉しかったです。

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    湯浅良介 Ryosuke Yuasa

    東京藝術大学教育研究助手、多摩美術大学非常勤講師。Office Yuasa主宰。専門は建築設計。現在の興味関心は、宇宙と時間。イメージと幻視。reframingで得た知見が、現実の世界で形になり、実際にはどんなことが起きていくのかとても気になっています。

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    岩崎伸治 Shinji Iwasaki

    東京藝術大学大学院修士2年。建築専攻。趣味は囲碁。最近、研究室同期と囲碁を勉強する運びとなり充実しています。reframingの中で「きれい」を考えることは、自分自身の輪郭を捉え直すことにもつながり、大変刺激的でした。

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    成定由香沙 Yukasa Narisada

    東京藝術大学大学院修士2年。建築専攻。最近は趣味の映画鑑賞が高じて短い映像作品を作るようになりました。reframingでは、自宅のキッチンでの実験やボートツアーを通して「きれい」という言葉から世界はいくらでも広がっていくのだと、楽しみながら感じられました。

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    藤井洸輔 Kosuke Fujii

    東京藝術大学大学院修士2年。建築専攻。ヨット乗り。最近、地図無しで知らない場所を歩いて、自分の頭の中に地図が描き出されてゆく趣味を見つけました。reframingを通してヨットが「きれい」という概念を通じて建築とつながり、さらには私の輪郭についても話せるテーマだと再発見できました。

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    森野和泉 Izumi Morino

    東京藝術大学大学院修士2年。建築専攻。趣味は読書と水泳。reframingのなかで、映画『ファイト・クラブ』で登場する人間の脂肪からできた石けんを思い出しました。その石けんは、消費社会を批判する象徴、あるいはダイナマイトの原料であり破壊の象徴としての石けん。思想をフィクションに落とし込み形を添えることが難しいことであると、実験の中で改めて感じ、学びになりました。

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    今井菜月 Natsuki Imai

    花王(株)感覚科学研究所所属。使いたくなる製品にするための“香り”の研究開発に従事。日常生活では常に心躍るモノを探しています。音楽、食べ物、ファッション。どんなジャンルでも!わくわくした時が一番幸せ。reframingのセッションを通して、自然の変化を日々感じ、その変化と調和しながら生活したいと考えるようになりました。

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    川北宜央 Yoshihisa Kawakita

    花王(株)作成センターコーポレートデザイン作成部所属。自社化粧品売場、社内外催事や展示の空間デザイン・設計を経て、現在はコーポレートブランディング分野のクリエイティブを担当。キーワードは口福(幸福)。食への探求はつきません。reframingでは相反する思考や感覚を知り、実は曖昧さに満ちている世界を深く実感。

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    小島晴予 Haruyo Kojima

    花王(株)感覚科学研究所所属。スキンケア製品の製剤開発、感触に関する感性工学研究を経て、現在は人の心への働きかけによる「きれい」な暮らしの実現に向けた心理行動研究に従事。最近のキーワードは「姿勢」。身体的にも、精神的にも。竹村先生の講演では、触れる地球儀「SPHERE」の体験が印象的。私たちは「地球人」なのだと深く実感しました。

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    杉山東子 Haruko Sugiyama

    花王(株)感覚科学研究所所属。香りにつながる記憶とその意味について研究。「人を優しくする」にはどうしたらいいかと日々思う。在宅勤務が続き閉塞感を感じる中で、空や水、空気を五感で感じたボートツアーは、皆がこの”生”の感覚を体験したら何かが変わっていくのではと感じたreframingの瞬間。帰り際に食べたどら焼きとコーヒーも沁みました。

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    中野詩織 Shiori Nakano

    花王(株)感覚科学研究所所属。現在は、心や体の健康を保つ新しいウェルネス習慣の提案に向けた基盤研究に従事。最近興味があるのは、茶香炉。部屋をほうじ茶の香りでいっぱいにしたい。reframingでは毎回良い意味で価値観が揺さぶられました。藝大の開放的な空間で、蝉の声を聴きながら行なったセッションが印象的。

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    中山杏子 Kyoko Nakayama

    花王(株)ESG活動推進部所属。商品の広報業務に携わったのち、国内外の社会貢献活動に従事。災害支援や緑化、教育、清潔衛生や健康に関するプログラム等を担当。趣味は国内旅行でご当地ならではの名産品を楽しむこと。竹村先生の触れる地球「SPHERE」を通して『地球目線』を体感し、視点が大きく開けたような感覚がありました。

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    畠山真紀 Maki Hatakeyama

    花王(株)商品デザイン作成部所属。プロダクトデザイナー。日用品の包装容器や道具のデザインを担当。最近はよく、山の中を走っています。こころがすっと整う感覚がお気に入り。自粛が続く中でのボートツアーでは、五感すべてで受け止めきれないほどの衝撃を受けました。

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    引間理恵 Rie Hikima

    花王(株)感覚科学研究所所属主席研究員。化粧による肌や心への作用に関する研究に長年従事。人の細胞~人生、そして地球を含めた「きれい」についてと研究対象を拡張中。ボートツアーでは、川のそばに身を投じることで見えていなかったことの多さに気づく。人間中心に暮らしてきたことを知り、大きく反省。reframingによって、無関心であった自分が暮らす地域に意識が向いた。市主催の市民学校で地元の現状と課題を学びながら、郷土愛を育み中。

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    穂積芽里 Meri Hozumi

    花王(株)商品デザイン作成部所属。プロダクトデザイナー。日用品、化粧品の容器や掃除道具、美容家電のデザインに従事。2022年9月よりスイス・ECALに在学。竹村先生の「人間界に留まらない」発想に衝撃を受け、最近は脱人間中心デザインについて思考。ボートツアーでかつての人と自然の共存を知り、人が自然を操作したことで変化した両者の関係に気づく。

reframing 編集部
アートディレクション・デザイン:田中義久 山田悠太朗
編集:水島七恵 編集アシスタント:熊谷麻那
写真:高野ユリカ
イラスト:成定由香沙
ウェブ制作:細谷悠人 鈴鹿岳宣 池 清澄
取材協力:花王(株)花王エコラボミュージアム 株式会社LIXIL NPO法人あそんで学ぶ環境と科学倶楽部 ダイキン工業株式会社 竹村眞一/文化人類学者 中林裕貴 / Enjoy Eco School 代表 石川奈緒記/ヘアメイクアーティスト 引地 聰/花王(株)花王ミュージアムほか(敬称略、ワークショップ開催順)

reframing 企画・運営部(花王株式会社)
プロジェクトオーナー:忍田晶子
プロジェクトマネージャー:引間理恵 平澤雅子 岸 美佐子
プロジェクトサポーター:南部博美 高橋正勝 辻 誠

お問い合わせ
reframing 事務局 reframing@kao.com
花王株式会社

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東京藝術大学美術学部建築科 | 大学院美術研究科建築専攻
http://arch.geidai.ac.jp

花王株式会社
https://www.kao.com/jp/

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